当ページのリンクには広告が含まれています。

Vox-yオンライン音楽教室ピアノの天野です。いつもご拝読有難うございます。

今日は、ピアノ界に興味をお持ちの方々に、ピアノを志したら必ず立ちはだかる壁「ショパン練習曲集」をご紹介致します。原語で練習曲のことをエチュードと言います。

全てのピアニストに苦しみを与えるピアノの詩人ショパンの作曲した練習曲集は、そのテクニックの複雑さと芸術的内容からピアノ界の至宝となった。

これは、弾き方を知らなければ弾けない暗号のようなものです。

素晴らしい音楽性とピアノへの情熱を秘めているのに、この練習曲が弾けない為に音大進学が難航、コンクールに受からない、プロと認定されない、そういう運命は変えられるのです。楽器のテクニックはあなたがまだ知らない暗号なのです。

全24曲からなる練習曲は、前半12曲が作品10として、後半の12曲が作品25とされている。以下に中でもピアノに詳しくない人でも耳にした事がある代表的な番号を挙げてみました。

こちらがまずショパン練習曲集の表紙です。

2010年くらいから主流となったナショナル エディションという版です。今の若いショパンコンクール参加者のピアニスト達は皆こちらの版を使用していると思います。

一般的な目安としては、お子様がずっとピアノを続けた場合、バイエルやチェルニーの練習曲の後に中学生の終わりか高校生になって始めるショパン練習曲集。そして音大入試、音大生、卒業試験、コンクール、プロになっても永久について回るこのハードなショパン エチュード。

ちなみにワルシャワのショパンコンクールでは24曲の中から自身の得意な番号を3曲演奏します。

🔷作品25 第11番「木枯らし」("Winter wind" Op. 25-11)

これは有名ですね。冒頭を聴いた事がない人はいないでしょう。

🔷作品10 第12番「革命」(”Revolution" Op. 10-12)

これもこの冒頭のドラマティックな始まりをテレビなどで聴いた事がない人はいませんね。左手の為の練習曲です。「革命のエチュード」と言ってショパンがフランス革命を表現しました。

ドイツ人のピアノ教授は、これはシュテュットガルトの革命だと主張していましたが(笑)。

🔷作品10 第2番「半音階」(Op. 10-2)

これは全24曲の中で最難曲とされています。親指と人差し指以外の3本の指で、この半音階を駆け抜けていかなければならないからです。さらに同時に親指と人差し指で和音を刻まないといけないのです。半端じゃないですね、ピアニスト達こんな事やってるんです。

毎回テクニックの水準が上がる最近のショパンコンクールではこの曲を絶対に入れないと高得点が出ないのだとか。

他にも作品10 第3番「別れの曲」や作品25 第1番「エオリアンハープ」など名曲が多くあり、これらの名曲は実はこのショパン練習曲集の一つだったのですね。

ちなみに下の動画は、私の作品10 第8番("Sunshine")です。

聴いてみて頂けたら幸いです。

コンクール×2と書きましたが、現代のクラシック音楽界がコンクール一色になり、ピアノを新しく始める人々を呼び込むのに、”コンクール”という競争と政治の場をその華やかさ・格好良さを見せつける事により、誤ったクラシック音楽へのイメージを植え付け、誤った動機からピアノを弾く若い世代を育てている事について、ピアニストである私からこの場を借りて指摘させて頂きます。

ショパンの時代もピアニストとして活躍しコンサートをGetする為に、競争は壮絶でした。ですが、あの時代はピアニスト同士がお互いに演奏するのを見て聴き合い、切磋琢磨してその華麗なピアノ芸術を発展・開花させていきました。

ショパンがパリに亡命して初めてサロン演奏会にデビューした時、「それは銀色の音色だった」と書き残されています。

心に耳を傾けて下さい。現代のコンクール上がりのピアニスト達の音色に夢や幻想がありますか?あなたの心はその音に本当に癒されていますか?

ピアノを勉強する上で、コンクールを一つの上達の為の発表の場に利用するのは良いですが、本物のピアノの響き、本物のピアノ演奏を知っていないと、あなたはピアノ演奏芸術の崇高な価値を、この世の奇跡であり魔法の錬金術に等しいピアノのテクニックを全く知らずにピアノを弾いただけになってしまうでしょう。

少し話が反れました。

問題はエチュードが弾けるようになる練習であれ、錬金術であれ、それをオンラインレッスンで教える事が可能かという事です/(^^;)

それは全編でご説明したように可能だと思いますよ。

練習曲をレッスンする時は、何がテクニックの難しい点で、それをどういう練習をする事で軽減できるのか、分からせるために、

 -ただ手と指を大きく映さないといけません。

 -練習の速度を先生がしっかり決め、一貫してその速度でスクリーンごしに練習させコントロールしなければなりません。その時、強弱もしっかり決めなければなりません。piano(弱音で)練習するのか、或はforte(強音で)か。

先ほど挙げた私のエチュード Sunshineではスクリーンのズームが足りません。でないと指が(特にこのエチュードで大切な親指)何をやっているのかが見えないからです。響きは伺いやすい距離かとは思いますが。

オンラインレッスンも基本リアルとなんら変わりはありません。

次回はエチュードの一曲に言及して解説してみたいと思います。テクニックの秘密を少し覗いて頂けたらな、と思い試行錯誤してみたいと思います。

皆様、少しピアノの世界について色々感じて知って頂けましたでしょうか?やってみれそうでしょうか(^^)?

語学もピアノも親切に説明してくれる先生がいれば出来るものです。自分には出来ない、と決して思わないで下さい。

執筆者、天野 泉(ピアニスト兼vox-y音楽教室ピアノ講師)

東京音楽大学卒業後、ヨーロッパに渡り12年という歳月を本場で研鑽を積む。

ザルツブルクを拠点にヨーロッパ各地で演奏。ミラベル宮殿モーツァルトコンサートシリーズ演奏家。2019年ブタペスト、ダニューブ交響楽団とショパン ピアノ協奏曲1番作品11を共演、特別賞受賞。

Vox-yオンラインをシェアしてね!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です